洛東遺芳館 概要
 当館は京の豪商であった、柏屋を母体とし、昭和49年(1974)に開館しました。以来、今日迄春秋2回特別公開をしております。
 柏原家は、肥後熊本加藤清正公の家臣、柏原郷右衛門を祖とすると伝えられています。江戸期の寛永年間(1645)初代三右衛門が当所に居を構えたといわれており、はじめ京小間物・扇子等を商い、徐々に商種商域を拡げ、木綿・漆器・紙の店を江戸に持ったいわゆる江戸店持京商人となり、今日も東京・大阪で盛業中であります。
 展示品のすべては、柏原家の江戸時代からの伝承品で、婚礼調度・絵画・浮世絵・工芸品・古書古文書等で、これ等を順次展示しております。
また、現在の建物も幾多の大小火難を逃れ、数百年来の商家の体裁を保っている京都でも数少ないものであります。
 建物の一部はご希望によりご案内しております。

〒605-0907 京都市東山区問屋町通五条下ル3丁目西橘町472
TEL:075-561-1045 FAX:075-561-3651


コレクション
 柏原家の江戸時代から伝承の品々
 婚礼調度・絵画・墨蹟・浮世絵・茶道具・衣裳・古書古文書等多岐にわたっております。


開館情報 ◇ 令和5年 秋季展「富士の絵と人形と玩具展」 令和5年10月1日(日)~11月3日(金) 月曜日閉館 午前10時~午後4時 (最終受付午後3時45分)

 今回は、当館所蔵品の中から、富士図、人形、玩具、雛道具などを展示しました。以下、数点を選んで、紹介します。


ご利用案内
開館時間 午前10時~ 午後4時(最終受付午後3時45分)
休館日 月曜日(祝日は開館)
アクセス 京阪電車 清水五条駅(徒歩3分)
入館料 一般 300円 大・高生 200円 中・小・きもの100円
住所 〒605-0907 京都市東山区問屋町通五条下ル3丁目西橘町472
TEL 075-561-1045
FAX 075-561-3651
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洛東遺芳館たより
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一階展示

一階の展示

  二階展示

二階展示

 

〈絵画と浮世絵〉
  今回展示した掛軸の富士図十一点のうち八点は墨画です。狩野周信筆の作品(写真1)は、江戸狩野の典型的な墨画富士図で、外隈(そとくま)と言って、富士の外側を隈取って表されています。これは狩野派に限らず、琳派の酒井抱一、狩野派を学び円山四条派の影響をうけた東洋(写真2)など、展示した墨画のほとんどは、この外隈技法を使っています。例外は三井牧山の作品(写真3)で、外隈は使わず、富士自体に隈を施し、実体感が表されています。牧山は北三井の七代目主人・高就で、人形6の所有者「三井わく」の父親です。

写真1 狩野周信筆 富士図

写真1 狩野周信筆 富士図

写真2 東洋 富士図   写真3 三井牧山
写真2 東洋 富士図    写真3 三井牧山
 
写真5の部分拡大

写真5の部分拡大

二階展示

 

 
写真6 岸駒 二見日の出図 写真7 部分拡大
  写真6 岸駒 二見日の出図    写真7 部分拡大
 
  〈人形〉
 人形は、節句人形に隠れがちなものを展示しました。全て三折(みつおれ)人形で、手足を動かせ、着せ替えをすることが可能です。三折人形は江戸時代後期から明治時代にかけて流行しました。今回展示した人形には、作者の名札が付けられたものが三点ありますが、残念ながら、彼らの活躍期はわかりません。また、天保二年(1831)の『京都商人買物独案内』に記された手遊人形を扱う店の一つに「柏屋孫左衛門」の名前がありますが、店で扱った人形が展示した人形の中にあるかどうかは、確認できていません。
 一組の小物があり、人形6(写真7)に付属するものと思われます。その中の帳面には「三井わく」という署名があります。「わく」は絵画3(写真3)の作者・三井牧山・高就の娘で、安政五年(1822)に柏原家に嫁いで来ました。人形6は、それ以前に作られたものということになります。
 人形9(写真8)は、手足を動かせるだけでなく、腹部に小さな鞴(ふいご)が収められていて、押すと泣き声をあげます。
写真7 番頭姿人形

写真7 番頭姿人形

写真8 赤ん坊人形

写真8 赤ん坊人形

〈玩具〉
 今回展示した玩具は、柏原家十代目主人が子供の頃、すなわち明治時代後期に購入されたものと思われます。舶来品か日本での模倣品で、ゼンマイ仕掛けのもの、玩具(写真9,10)は現在でも動きます。

写真9 メリーゴーランド

写真9 メリーゴーランド

          
写真10 自動車 ドイツのレーマン社が1904年から1935年まで製造したもの。

写真10 自動車 ドイツのレーマン社が1904年から1935年まで製造したもの。