洛東遺芳館たより
◆平成21年 秋季展より 2009年10月1日(木)〜11月3日(火)
「狩野派と合わせ貝」
狩野派(かのうは)は、室町幕府の御用絵師となった狩野正信を始祖とし、室町時代中期から江戸時代末期まで、約400年の長期にわたって常に画壇の中心であった画家集団である。

 松栄直信(しょうえい なおのぶ)永正16年〜天正20年(1519〜1592)
 宗家二代目狩野元信の三男であるが、ふたりの兄が早世したため家督を継いだ。

 寿石敦信(じゅせき あつのぶ)寛永16年〜享保3年(1639〜1718)
 江戸前・中期の絵師。父は狩野素川信政、浅草猿屋町代地狩野家を継いだ。

 常川幸信(じょうせん ゆきのぶ)享保2年〜明和7年(1717〜1770)
 狩野随川甫信の次男。狩野岑信を祖とする浜町狩野家の3代目を継承した。

 探索守照(たんさく もりてる)享保14年〜寛政9年(1729〜1797)
 江戸時代中期の絵師。祖父は狩野探幽門人四天王のひとり鶴沢探山、鶴沢派の3代目。

 素川章信(そせん あきのぶ)明和2年〜文政9年(1765〜1826)
 江戸後期の狩野派の絵師。浅草猿屋町代地狩野家の5代目を継いだ。

合わせ貝は、内側を蒔絵や金箔で装飾されたハマグリの貝殻を使用する。ハマグリなどの二枚貝は、対となる貝殻としか組み合わせることができないので、対になる貝を違えないところから夫婦和合の象徴として、公家や大名家の嫁入り道具の美しい貝桶や貝が作られた。

平成21年秋季展より 平成21年秋季展より
松栄直信 二十四孝図(屏風六曲一双・紙本墨画) (左)寿石敦信 滝龍図(掛軸一幅・紙本墨画)
(右)探索守照 松鶴図(掛軸一幅・絹本墨画著色)
   
平成21年秋季展より 平成21年秋季展より
常川幸信 春景富士之図(掛軸一幅・絹本墨画著色) 素川章信 雲龍図(屏風六曲半双・紙本金地墨画)
   
平成21年秋季展より 平成21年秋季展より
合わせ貝 貝桶
   


◆平成21年 春季展より 2009年4月1日(水)〜5月5日(火)
「琳派と婚礼調度品」
琳派とよばれている流派は、光琳派の略称ですが、これは宗達にその源を発していますので宗達派、あるいは宗達・光琳派と称するのが本来の呼び名です。伊年、尾形光琳、渡辺始興、酒井抱一、池田狐村など絵画界に異彩を放った画家達を紹介いたします。
また婚礼調度一式は、里代の調度と呼ばれ、柏屋(現在の柏原家)の四代目九右衛門光忠に嫁いできた時、持参されたものです。
制作の時期は、嫁入り時期より、元禄時代(1688〜1703)の初期といわれております。
平成21年春季展より 平成21年春季展より
展示ホール (左)大鏡箱・大鏡立(黒塗柳海棠蒔絵)
(中)紅綸子地巻絹に牡丹梅文様絞繍振袖
(右)柄鏡箱・柄鏡立(黒塗柳海棠蒔絵)
   
平成21年春季展より 平成21年春季展より
黒棚飾付け 拂箱・畳紙箱・小角赤手箱・渡金箱・歯黒箱 十二手箱(黒塗柳海棠蒔絵)
   
平成21年春季展より 平成21年春季展より
池田孤村 競馬之図(紙本着色・六曲一双) (左)渡辺始興 福禄寿(紙本墨画)
(中)尾形光琳 桔梗図(紙本着色)
(右)伊年 鶴図(紙本墨画)